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の構造を参考にして、いわば腰だめで設計されたものであるが、結果的には要求性能に対し極めてバランスのとれた構造であり、建造後27年、2代目の機関が老朽化して廃船になるまで構造上のトラブルは全くなしに使用された。現在、船体は四国金毘羅様の下の海の科学館に、また、その船体の一部は海上保安大学校資料館に永久保存されている。
構造はZ形材を縦肋骨とした縦肋骨構造方式、大骨としての横肋骨は約1m間隔とし、縦肋骨と外板との取り付けはリベット、その他は溶接を主体とし、チャイン部及びガンネル部にクラック伝播防止のリベット継手を設けたものとした。今日の大型化された高性能艇に対しても、縦肋骨構造方式、横肋骨心胆約1mとする原則は変わっていない。
この艇の耐波試験における計測値を基とした外力基準によって、類似の構造で「魚雷艇3号」型2隻、「魚雷艇7号」型2隻、「高速4号」型2隻が建造された。「魚雷艇7号」型は長さ33,5mで、当時としては世界最大のアルミニウム合金艇、「高速4号」型は試運転で40ノットを超している。
これらは、いずれもZ形材をロンジフレームに使っている。Z形材のウェブフレーム貫通部は大きな切り開け部があったため、「高速4号」型ではこの部分に欠陥ができたこと、比較的ヤング率が低いアルミニウム合金では、Z形材のように非対称性の強いスチフナは大きな外力を受けると横倒れを生じて効きが悪いということが分かって、昭和35年度(1960)艇「魚雷艇10号」からは珠山形材が使用された。また、ウェブフレームの切欠きは、できるだけ小さくして、珠山形材のウェブをフレームに直接溶接するようになった。

 

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あらかぜ中央切断

 

 

 

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